この記事の目次
4.テクニカル分析の種類
「一目均衡表波動論」とは、相場の方向性を示す役割?
テクニカル分析の概要に触れた先のコラムでは、様々な専門用語が登場しました。
その専門用語をひとつひとつ詳細に説明してゆきたいと思います。
続いては、テクニカル分析の体系的理論としてとりあげた「一目均衡表波動論」について。
テクニカル分析
「一目均衡表」基本的な意味
一目均衡表は、細田悟一氏(ペンネーム:一目山人[いちもくさんじん])が、時間論・波動論・値幅観測論・型譜・スパンなどからなる総合的な分析手法です。
その名の通り、ひと目で相場の均衡状態を見分けるもので、均衡が崩れた時にその方向に値が動くという推論に基づいています。
投資家からの人気が高く、海外トレーダーでも"Ichimoku"の通称でよく知られています。
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「一目均衡表」の基本的な使い方と見方
①転換線・基準線が交差する
基本的な見方の一つに転換線・基準線のクロスがあります。
一目均衡表でいうところの「それまでの均衡が崩れる」状態を意味し、相場における転換を示すシグナルの一つとなります。
転換線が基準線を下から上抜けることを「好転」、
転換線が基準線を上から下抜けることを「逆転」。
一目均衡表の基準線は、
相場の方向性を示すラインでもあります。
現状の相場の流れを見る場合には、基準線が上向きなのか、下向きなのか、横ばいなのかを見極めることが重要です。
また、基準線が①や②のようにサポートやレジスタンスとなることもあります。
基準線の上昇・下降が続いている場合、
日々線は安定して上昇・下降を継続しますが。
③や④のように横ばいの動きとなる場合は、日々線はやや不安定な動きとなることが多く、特に注目したいポイントです。
②日々線が雲を抜ける
基本的な見方の2つ目は、
日々線が雲を抜ける場合です。
日々線が雲を上抜ける場合は相場の方向性が「好転」、下抜ける場合には「逆転」するとしており、相場の転換シグナルと判断します。
よく、“雲の上は晴れ”なので「強気基調」、
“雲の下は雨”なので「弱気基調」と表現されることもあります。
一目均衡表においては、
雲を重要視するトレーダーが多いです。
日々線の雲上抜けや下抜けは重要ですが、雲の上限や下限がサポートやレジスタンスとなることもあるため、日々線が雲に接近する場合や雲に突入後、雲を抜けた後の動きにも注目です。
③遅行スパンが日々線を抜ける
基本的な見方の3つ目は、
遅行スパンが日々線を抜ける形です。
当日の終値を26日過去に記すことから、
チャート上では現時点から後方で起きる現象です。
そして基準線が上向き(下向きに)変わっていることを条件とするとより効果的です。
④三役好転・三役逆転
一目均衡表における重要な転換シグナルに
「三役好転」「三役逆転」があります。
「転換線・基準線の交差」「日々線が雲を抜ける」「遅行スパンが価格を抜ける」という3つの条件をすべてクリアした場合がこれに当たり、特に信頼度の高いシグナルとして支持されています。
また、3つの条件がすべてそろうことから、国技になぞらえて「三役揃い踏み」と呼ぶこともあります。
『三役揃い踏み』の場合、
大抵「日々線が雲を抜ける」が最後になります。
一目均衡表のシグナルに限らず、
トレーダーの支持が高いほど信頼度は高まります。
一目均衡表の場合、日々線が雲を抜けることは重要なシグナルとして、トレーダーの支持も高く、雲を抜けた後に上昇や下降の動きが加速するケースも多くなります。
先行スパン1と先行スパン2のクロスは、相場の流れを見るためのポイントとなることが多く、それまでの流れが転換するケースが良くあります。
上図では明確な転換に結びついていますが、やや信頼性に欠ける面もあるため、"転換の可能性が高まる"程度に認識しておいた方がよいでしょう。
また、先行スパンの特徴(現時点から25日先に記される)から何営業日後に転換の可能性が高まるか予測することも可能であり、ある程度心の準備ができます。
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まとめ「一目均衡表波動論」
一目均衡表の考え方を一言でまとめると、
「為替レートの値動きは時間による影響を受けている」というものになります。
チャートは、縦軸に為替レートの価格、横軸に時間をとった2次元的なものです。
しかし、横軸の時間は単純に前に前に進んでいくわけでなく、過去に起こった値動きの支配下にあり、現在の値動きは未来に大きな影響を与えます。
時間の流れには、一種の周期性やリズムや起承転結があり、時間と為替変動の関係性を「日柄」という考え方で体系化したのが、一目均衡表なのです。
一目均衡表が他のテクニカル指標とまったく違う部分は、為替レートやその平均値を未来や過去にずらして、「雲」や「遅行線」を描画し、売買判断に使用するところです。
二次元のチャートに過去や未来という三次元的な奥行きを持たせている点は、世界で唯一無二、オンリーワンの指標といっても過言ではないでしょう。