6.テクニカル分析の種類「移動平均線」とは、テクニカル指標のなかで最もポピュラーで幅広く用いられている?

6.テクニカル分析の種類
「移動平均線」とは?


テクニカル分析の概要に触れた先のコラムでは、様々な専門用語が登場しました。

その専門用語をひとつひとつ詳細に説明してゆきたいと思います。

続いては、テクニカル分析の概要で取り上げたあげた「移動平均線」について。

テクニカル分析の種類
移動平均線の手法と見方


移動平均線は、あらゆるテクニカル指標のなかで最もポピュラーで幅広く用いられています。

基本的には、トレンド追随型分析手法であり、トレンドの開始やトレンドの終了・反転を確認したり、シグナルを見つけたりする手法です。

過去の一定期間の終値の平均値をグラフ化したもので、その平均値を期間の最終日に記します。

移動平均線の期間は、日足であれば
5日・10日・20日・25日・90日・200日。

週足では13週・26週・52週、月足では36ヵ月・60ヵ月・120ヵ月などが一般的に良く使われています。

テクニカル分析の種類
グランビルの法則の考え方


米国のチャート分析家のJ.E.グランビルは、価格と移動平均線の位置関係に着目し、これをもとに具体的な売買の法則を説きました。

買いシグナル

①移動平均線が下降を続けた後に、横ばいや上向きかけている状態で日足が移動平均線を上抜けた場合。

②移動平均線が上昇している時に、日足が移動平均線を下回ったが再び移動平均線を上抜けた場合。

③移動平均線が上昇している時に、日足が下降して移動平均線を下抜けず再度上昇した場合。

④日足と移動平均線が共に下降している時に、日足が移動平均線から大きく乖離した場合。

①は重要なトレンド転換シグナル、②・③はトレンド継続のシグナル、

④は行き過ぎによる調整シグナルと一般的に言われています。

また②③④の場合、長い下ヒゲのローソク足など、上げを示唆する足型が出れば見極めやすくなります。

売りシグナル

①移動平均線が上昇後、横ばい・下降しはじめた時に日足が移動平均線を下抜けた場合。

②移動平均線が下降中に、日足が上抜けたが再び移動平均線を下抜けた場合。

③移動平均線が下降している時に、日足が上昇して移動平均線を上抜けず再度下降した場合。

④日足と移動平均線が共に上昇している時に、日足が移動平均線と乖離した場合。

①は重要なトレンド転換のシグナル
②・③はトレンド継続のシグナル。

④は行き過ぎによる調整シグナルと一般的に言われています。

また②③④の場合、上ヒゲの長いローソク足など、下げを示唆する足型が出れば見極めやすくなります。

更に…

①は主に新規買い・新規売り、

②③は押し目買い・戻り売り、追加買い・追加売り、

④は行き過ぎ狙い(利益確定など)の判断によく利用されています。

また、移動平均線の日柄の設定では、
日柄を短くすればローソク足により近く、長くすると遠くなります。

テクニカル分析の種類
移動平均線のゴールデンクロスとデットクロス


価格と移動平均線の位置関係に着目した「グランビルの法則」とは別に、
「短期移動平均線」「中期移動平均線」の2本を使用して、この2本の線のクロス(交差)を売買のサインとする見方があります。

ゴールデン・クロス

短期移動平均線が中期移動平均線を下側から上抜ける(クロスする)ことを「ゴールデン・クロス」といい、買いシグナルとして使われます。

デッドクロス

短期移動平均線が中期移動平均線を上側から下抜ける(クロスする)ことを「デッド・クロス」といい、売りのサインとなります。

2本の移動平均線を使用する場合、
日柄の設定は重要なポイントとなります。

上図のケースでは、
日足で10日線と20日線を使用しています。

2本の移動平均線の日数を狭めると2本のラインの間隔は狭まり、日数を広げると間隔は広がります。

前者の場合、クロスのタイミングは早まりますが、"だまし"も多くなります。

また、後者の場合には、
クロスのタイミングが遅くなります。

テクニカル分析の種類
移動平均線のまとめ、注意点


移動平均線は、1本の移動平均線でも活用することはできますが、
2本線を使うことでより精度を上げることができます。

また、3本線を使用するトリプル・クロスオーバー法」(4日-9日-18日や5日-10日-20日などの組み合わせ)もあります。

そして、基本的には終値ベースで作成(単純移動平均線)されていますが、

・高値移動平均線

・安値移動平均線

・加重移動平均線(期間内で直近の価格に荷重をかけて計算する)

・指数平滑移動平均線(価格を過去に遡り平均化して計算する)

などの移動平均線もあります。

移動平均線は、一定のトレンドが形成されている場合には有効な分析手法ですが、もみあい相場や乱高下の多い相場展開の場合には、有効なシグナルを出し難いという欠点があります。

そのため、現状の相場展開を見極める必要があります。


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