この記事の目次
7.テクニカル分析の種類
「ポリンジャーバンド」とは?
テクニカル分析の概要に触れた先のコラムでは、様々な専門用語が登場しました。
その専門用語をひとつひとつ詳細に説明してゆきたいと思います。
続いては、テクニカル分析の概要で取り上げたあげた「ポリンジャーバンド」について。
株価チャートには株価だけでなく、移動平均線を加えて表示させることで、売買のタイミングを見極める便利な指標になることは知っている人も多いと思います。
では、「ボリンジャーバンド」を聞いたことがある人はどれだけいるでしょうか?
ボリンジャーバンドとは、移動平均線をさらに進化させたもので、株価の上昇トレンドや下降トレンドの始まりがわかったり、買い過ぎや売られ過ぎのサインが判断しやすい便利な指標といえるでしょう。
1980年ころにジョン・ボリンジャー氏が考案した指標で、「価格の大半がこの帯(バンド)の中に収まる」という統計学を応用したテクニカル分析指標のひとつです。
ボリンジャーバンドについて文字で説明するより、実際に見たほうがわかりやすいと思うので、さっそく次のチャートを見てみましょう!
この株価チャートの中には、ローソク足とは別に7本のラインが引かれていますが、これらをあわせてボリンジャーバンドといいます。
7本の中心にあるのは移動平均線で、
その隣にある上下ラインが±1σ(シグマ)、その次が±2σ、一番外側が±3σと並んでいます。
そして、これらのボリンジャーバンドの間に、株価が推移する統計学的な確率が次のようになります。
テクニカル分析の種類
ボリンジャーバンド計算と期間
±1σ 68.27%
±2σ 95.45%
±3σ 99.73%
上の確率表示から+2σと-2σのボリンジャーバンド内には、約95%の確率で株価が推移していくと予想されます。
つまり、+2σのラインを株価が超えた場合、
「買われ過ぎ」と判断できます。
反対に-2σのラインを株価が下抜けた場合、
「売られ過ぎ」と判断できます。
その後には、適正な価格へ戻ることが予想できるのです。
σ(シグマ)は、移動平均の数値の標準偏差として次のように計算できます。
標準偏差という言葉が少し難しいですが、簡単に説明すると株価がどのように分布しているかを表すものと考えてください。
学生の頃、テストの結果で偏差値というものがありましたが、ここでも同じような意味で使われます。
標準偏差の式内にある「期間」には移動平均線と同じ期間が入り、例えば25日移動平均線を用いた場合は、期間が「25」になります。
ただ、この計算式、計算式は難しそうですが、
実際に計算する必要はありません!
証券会社のチャートには、自動でボリンジャーバンドを表示してくれる機能があるからそれを活用すればいいのです!
テクニカル分析
ポリンジャーバンドの基本的な使い方
ボリンジャーバンドには、
基本的な3つの動きがあるので、次に紹介します。
1.スクイーズ:幅が狭くなる
2.エクスパンション:幅が上下に広くなる
3.バンドウォーク:±2σラインに沿って株価が上昇または下落する
それぞれに特徴があり、投資家としてどのように行動しなければいけないのかがわかるので、これら3つの動きについて説明しておきたいと思います。
1.スクイーズ
ボリンジャーバンドを見ると、幅の狭いところもあれば、広いところもあります。
スクイーズとは、英語で「搾る」という意味があり、ボリンジャーバンドでもギュッと搾られたように幅の狭い部分を指しています。
スクイーズの部分は、値動きが小さいという特徴があります。
買ってもなかなか売るタイミングが来ないため、スクイーズは売買はせず、様子を見ている期間と考えてください。
このスクイーズは株価が上昇や下落するエネルギーを溜めている状態で、この後大きく株価が変動する危険があるため、株初心者の方はとりあえず様子を見ておきましょう。
2.エクスパンション
エクスパンションは、ボリンジャーバンドが両側に大きく広がった部分を指し、英語では「拡張」という意味があります。
ボリンジャーバンドは、スクイーズ(収束)とエクスパンション(拡張)を繰り返していますので、スクイーズの後には上下に広がるエクスパンションが来ます。
(上図の丸印のように値動きとは逆方向に開くのがエクスパンションです。)
上下に大きく開いたエクスパンションは、強い上昇トレンドや下降トレンドとして見ることができますが。
スクイーズのままただ上昇したり下降しているボリンジャーバンドは、トレンドの力が弱いため株価が上下し不安定になりやすいです。
ボリンジャーバンドのエクスパンションは、値動きと逆側もちゃんと広がっているかどうかがトレンドの強さを判断する1つの指標になることを覚えておいてください。
エクスパンションの開き具合から、強い上昇トレンドが確認できた場合は、その開き始めが買いサインになります。
3.バンドウォーク
エクスパンションの開き具合から強い上昇トレンドが確認できた場合は、その開き始めが買いサインになります。
エクスパンションが現れたときに、ボリンジャーバンドの±2σラインの縁に沿って株価が上昇、もしくは下落していく状態をバンドウォークと呼びます。
バンドウォークはとても強いトレンドを持っています。
標準偏差のところで紹介しましたが、株価が±2σのラインにかかっている状態は、買われ過ぎや売られ過ぎのサインになるため、いずれ大きく反発することが予想できます。
強いトレンドなので上昇トレンドの場合、しばらく株価の上昇が続きますが、買われ過ぎという点を常に念頭に置いて、株価の急落に備えておいてください。
また、下降トレンドでバンドウォークが現れた場合は、売られ過ぎのサインと読むことができ、いずれ大きな反発が訪れるので、買いタイミングを逃さないようバンドウォークを外れるポイントをチェックしておきましょう。
ボリンジャーバンドの基本的な3つの動きから、投資家はどのようなアクションを行えばいいのか?
スクイーズ、エクスパンション、バンドウォークについて説明してきました。
それぞれの動きの特徴と、現れた時にどのようなアクションを行えばよいのか?
スクイーズ:バンドが狭く搾られた状態で、値動きは小さいため様子見。
エクスパンション:バンドが上下に広く開いた状態で、上昇トレンドや下降トレンドに入った期間。上昇トレンドの場合は、エクスパンションが始まったポイントが買いサイン。
バンドウォーク:±2σのボリンジャーバンドに寄り添うように株価が推移していく状態。出現率は低いが、現れたときは強いトレンド。買いサインや売りサインを逃さないよう要チェック。
テクニカル分析の種類
ボリンジャーバンドの手法
ボリンジャーバンドを利用した実際の売買ポイントについて紹介しておきましょう。
ボリンジャーバンドには、±1σ、±2σ、±3σの3種類がありますが、今回は±2σの形状に注目してください。
チャートで、赤い矢印が示すローソク足は+2σのボリンジャーバンドを上抜けました。
この時点で「上昇トレンドへ突入するかも」と予想できますが、その後のボリンジャーバンドがスクイーズからエクスパンションへ変化していることから上昇トレンドに入ったと判断でき、ここが買いポイント(順張り)になります。
しばらくバンドウォークを続けて株価が上昇しますが、下側の-2σのボリンジャーバンドを見ると、緑の点線の場所から向きが下向きから上向きへ切り替わっています。
値動きと逆にあるボリンジャーバンドは、エクスパンションからしばらく経つとスクイーズに向かって向きが変わってきます。
この向きが変わったポイントが売りポイント(逆張り)になります。
上のチャートで実際の値動きを確認すると、向きが変わったポイントから株価が上下し始め不安定になってきているのがわかります。
また、今回例にしたエクスパンションの両側にも1つずつエクスパンションがありますが、同じように下側の-2σラインの向きが変わった時点から値が崩れているので、ここが売りポイントだと判断することができます。
買いサイン:エクスパンションが始まり、+2σのライン上でバンドウォークが確認できたら買い(順張り)
売りサイン:エクスパンションが始まって、-2σのラインが拡張から収束に方向転換した時点で売り(逆張り)
テクニカル分析の種類
ボリンジャーバンドまとめ
ポリンジャーバンドは、その概念を理解するよりも、それが示す、3つのサインを見逃すことなく、そこでどのようなアクションを行うかが重要。
更にいえば、このポリンジャーポイントを正しく見極めることができれば、適正な、売り時、買い時、そして静観すべき時を知ることが出来ます。
ポリンジャーポイントの3つサインを正しく見極めて、どのようなアクションを行うことで、成果が得られるのかを理解することが投資初心者には重要と言えます。